美食のサピエンス史
ジョン・アレン/著、成広あき/翻訳
2020年10月1日発行
食とヒト。脳科学と進化学から紐解く旅にいざないます
美食を求めるフランス人? 食べられればいいアメリカ人?
脳科学に詳しい人類学者が明かす、素朴な疑問の深い裏側。明日から身近な「食」と「ヒト」が違って見えてくる。
生物・科学的側面からだけでは説明がつかない、超雑食な食嗜好のヒト(ホモ・サピエンス)と食べ物の関係について、「進化」「脳科学」「文化史」という多方面から紐解いています。
日本にルーツを持つ著者。日本人の母を持ち、日本食の話題も満載!
サクサクのてんぷらに魅了される感覚の起源は? 肥満とダイエット、そのとき脳は? ニホンザル「イモ」の行動と創造性の関係は?
食にまつわる疑問をトリガーに、日本に縁のある著者が脳科学・進化学・人類学を駆使して「食」を語ります。
思わず人に話したくなること、間違いなし!
「どうして、ヒトは“カリカリ”や“サクサク”するクリスピーの食感が好きなんだろう?」
「美食を求めるフランス人と食べられればいいアメリカ人の差は?」
「痛みの快楽:なぜ唐辛子を食べるのか?」
「食べ過ぎる人と食べない人」…
人類の「食」にまつわる素朴な疑問には、実は理由があった!?
思わずまわりに話したくなること、間違いなしの内容です!
読者レビュー
「この本と対話しながら読み進み、いつしか、食べることを冷静に見つめるようになっている。」
ヒトが食べること、を様々な角度から考察したこの本は、自分の食行動への解説にもなっていて興味深い。
特に、大きくなった脳と、食事内容との関係、肉食との関係や、何を食べたかの食の記憶など、常日頃なんとなく疑問に感じていたことに言及されていて、嬉しい。
例えば、友人とレストランで食事しようなどという時、何を食べるのかなかなか決まらない人がいる。その様子を見る私は内心(悩む割に明日になると忘れている)だろうとツッコミを入れつつ自分もそうであることに気づき、ひとり苦笑することが多い。
サクサクした食べ物が好きな人類にとって、麻薬のようなポテトチップス。脂質と適度な塩分と、サクサク。たまらない!でも私の脳がそれを喜んでいたのか。少しは我慢することを覚えなければならないね、自分。
などとこの本と対話しながら読み進み、いつしか、食べることを冷静に見つめるようになっている。
著者プロフィール
ジョン・アレン(John Allen)
人類学者。南カリフォルニア大学のドーンサイフ認知神経科学イメージング研究所、および同校脳・創造性研究所, インディアナ大学人類学部の研究員。研究テーマ:ヒトの脳構造と進化。日本、ニュージーランド、パプアニューギニア、パラオで文化人類学のフィールドワーク経験がある。
目次
- はじめに
- 第1章 サクサク、カリカリ、パリパリ、シャキシャキ……etc.
- 「サクサク」のみなもと:昆虫
「シャキシャキ」のみなもと:植物
「サクサク」のみなもと:調理した食べ物
咀嚼する脳
サクサクの食べ物は騒がしい
「サクサク」な言葉
「サクサク」っと結論を
- 「サクサク」のみなもと:昆虫
- 第2章 〝超〟雑食のサル─二足歩行・大きな脳・小さな顔
- 樹の上で食べる
脳と肉
高くつく脳
魚介説
雑食から〝超〟雑食へ
農業:食事に加わる制約から見た超雑食性
現代に流行る旧石器時代食
- 樹の上で食べる
- 第3章 感覚をつかさどる脳と食べ物
- 味の文化
味覚の基本
脳が味わう
痛みの快楽:なぜ唐辛子を食べるのか?
遺伝学には味がある
食べて感じるオーガズム
よりよく味わう
- 味の文化
- 第4章 食べ過ぎる人と食べない人
- 自然にまかせて食べ過ぎる
脳で摂取する
脳の構造と体脂肪
脳機能と体脂肪
食物中毒(摂食中毒)
絶食中毒
精神と食事
- 自然にまかせて食べ過ぎる
- 第5章 食の記憶
- 海馬は「タツノオトシゴ」
海馬、食事、アミューズ・ブーシュ
食事、記憶、忘却
作動記憶のある作動食物
想起への期待
記憶の祝宴としての食の祝宴
- 海馬は「タツノオトシゴ」
- 第6章 カテゴリー:よい食べ物、悪い食べ物、食べていいもの、食べてはいけないもの
- 七面鳥とヒクイドリ——総称的種とその他の種類の種
ピザかどうか? 脳内のカテゴリーと分類
なぜダイエットには名前や形が必要なのか?
良いものと悪いもの
心のなかのメニュー
- 七面鳥とヒクイドリ——総称的種とその他の種類の種
- 第7章 食べ物と創造的な旅
- 進化における創造力:それは何の役に立つのか?
創造力と脳
創造的な厨房環境
もう1つの創造的な厨房
創造的な選択
- 進化における創造力:それは何の役に立つのか?
- 第8章 心の理論と「食の理論」
- 心の理論
食の理論
- 心の理論
- 謝辞
- 原注
- 索引
詳細情報
定価 | 本体 2,200円+税 |
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判型 | 四六判 |
ページ数 | 307ページ |
ISBN | 978-4-7581-1214-7 |