BIRTH いのちの始まりを考える講義

発生生物学者ギルバート博士が生殖補助医療と人間を語る

スコット・ギルバート、クララ・ピント-コレイア/著
阿久津英憲/監訳、王子玲子/翻訳

BIRTH いのちの始まりを考える講義
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2020年10月29日(木)発行予定

最新科学と実体験に基づき語られる21世紀のいのちの物語

発生生物学の教科書で知られるギルバート博士が、不妊治療当事者(かつ研究者)のピント-コレイア博士とともに語る
“世界で最も重要な物語”。発生生物学と経験談をもとに、生殖科学と21世紀の家族の姿を考える。

さまざまな角度から語られていく、“いのち”に関わる数々の物語

赤ん坊はどのようにできるのか──。新しいタイプの家族はどうやって考え出されるのか──。バイオテクノロジーは生殖補助医療をいかに変えたか──。ゲノム編集によるデザイナーベビーは許されるのか──。

世界的な発生生物学の権威が、不妊治療当事者でもある研究者とともに語る、いのちの始まりを考える講義。
ぜひお楽しみください!

本書「はしがき」

※ 本書「はしがき」より一部抜粋して掲載しています。

生物学者と神学者、哲学者が酒場にやってきます。3人は大いに満足です。底冷えするフィンランドの冬の晩を酒場で過ごすのは悪くないし、おまけに熱心な聴衆が大勢集まって3人を待っているからです。急ごしらえの壇上で椅子に腰掛けると、小生意気な大学院生が質問を投げかけます。「世界で最も重要な物語といったら何ですか?」

神学者がまっ先に答えます。「神の恵みによる救いです」。そして十字架の奥義の解説を始めます。

哲学者は見下したように「啓蒙主義ですな」と答え、知的生活と真理の発見について話します。

生物学者は、みなが「進化」という答えを待っているのを感じましたが、それがいちばん重要な物語ではありません。実は、進化は結果です。「世界で最も重要な物語は」と彼は言いました。「胚の構築です」

私たちが本書を書いた理由はこれです。詩編139章に書いてあるように、私たちは「畏怖の念を起こさせるまでにくすしく造られている」のです。実のところ、私たちがどれほど「畏怖の念を起こさせるまでにくすしく造られている」か、それを発生生物学者以上に想像できるのはほんの一握りの人たちだけです。発生生物学者は胚の研究という特権を与えられています。私たちはふたりとも、発生生物学者であることに幸運を感じています。私たちの意見が一致しない点は多々ありますが、体に対して抱く畏怖の念と、その体が示す調和と謎に関しては同じ考えを持っています。そしてこれは人に語り聞かせるべき物語であるという点でも一致しています。また互いに、こうした物語が世間ではつねづね誤って伝えられていると考えています。偽りの物語はヒト胚を貶め、生物科学における人間の創意工夫をも貶めることになります。生物科学は今、受精が起こる仕組みと、それに続いて発生するたった1つの細胞である受精卵から私たちの体が構築される仕組み、そしてこの知見を人間の幸せのために使う方法を明らかにしつつあります。政治家や神学者、科学者、メディアのコメンテーターたちが、ヒト胚について愚にもつかない話をまくしたてるのを聞くことは、私たちにとっては、愛する人への侮辱以外の何物でもないのです。おまけに私たちは憤慨しているのです。何かしら変化があると、もろ手を挙げてこれは進化だともてはやす風潮に対して。それが生身の人間とどう関わるのか、当事者とその家族に対してどのような悪影響の可能性があるのかについて調べもせずに。そこで――侃々諤々の議論がなかったわけではありませんが――生殖科学とその関連テクノロジーについてのこうした考えを本にまとめようという話で一致したのです。

著者プロフィール

スコット・ギルバート(Scott Gilbert)

スワースモア大学名誉教授・ヘルシンキ大学Distinguished Professor。著名な進化発生生物学の研究者であると同時に、教育者としても、世界中で使用される「ギルバート発生生物学」をはじめ発生生物学・進化生物学・生命倫理に関する数々の教科書を執筆。

クララ・ピント-コレイア(Clara Pinto-Correia)

発生生物学研究者、小説家、科学史家、教育者。マサチューセッツ大学のポスドクとして動物の受精とクローニングを研究。研究と並行しジャーナリスト活動も行い、ポルトガルのラジオ局にて生物学の番組を長年担当。著書に「The Ovary of Eve: Egg and Sperm and Preformation」「The Marvelous Adventure of Life」がある。

監訳者プロフィール

阿久津英憲(あくつ ひでのり)

国立成育医療研究センター研究所再生医療センター 生殖医療研究部部長。1995年弘前大学医学部卒業後、福島県立医科大学産婦人科へ入局。99年から2年間半、ハワイ大学医学部柳町隆造研究室研究員。2002年福島県立医科大学で博士号を取得しその後、米国国立老化研究所遺伝学研究室およびハーバード大学分子細胞生物学部研究員。05年国立成育医療研究センター研究所室長、14年より現職。内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)生命倫理専門調査会の専門委員や受精卵ゲノム編集に関する国際委員会、The International Commission on the Clinical Use of Human Germline Genome Editingの委員などを務めた。

目次

  • はしがき
  • 謝辞
  • 第1部 物語の重要性
    • 第1章 概念のデトックス:ホグワーツに戻りヒト発生学を学ぶ【スコット・ギルバート】
      第2章 不妊とその克服の物語:ブラッディ・メアリーとの姉妹性【クララ・ピント-コレイア】
  • 第2部 受精とその不満
    • 第3章 受精:死の淵にある2個の細胞、数十年を生き延びる新たな生命体の形成に共同作業で臨む【スコット・ギルバート】
      第4章 受精の儀式:人工授精と体外受精――希望と恐れ【クララ・ピント-コレイア】
  • 第3部 母親と胎児
    • 第5章 ヒトの正常な発生と生命の始まり:なぜ科学者は神学的疑問を問われ、なぜ神学者は科学的疑問を問われるのか【スコット・ギルバート】
      第6章 テクノロジカル・マザー【クララ・ピント-コレイア】
  • 第4部 生物学を介して人の在り方を改善する:現実と幻想
    • 第7章 動物、細胞、遺伝子のクローニング:クローニングはどこから来て、この先どこへ行くつもりだろう?【スコット・ギルバート】
      第8章 黄金時代:私のクローニング秘話 【クララ・ピント-コレイア】
  • 第5部 エピローグ
    • 第9章 不妊戦争:すべての望みがついえたあとの人生とは? さて、どう立て直していきましょうか?【クララ・ピント-コレイア】
      第10章 人は恐れ、人は驚異する:人体に乾杯【スコット・ギルバート】
  • 付録:生殖補助医療のためのフィールドガイド【スコット・ギルバート】
  • 用語
  • 監訳者解説【阿久津英憲】
  • 子を成すこと、家族を成すこと【ダナ・ハラウェイ】
  • 原注
  • 索引

詳細情報

定価 本体 2,400円+税
判型 四六判
ページ数 383ページ
ISBN 978-4-7581-1215-4

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